符は差出者の位署が日附の前にある

第五図は、大宰府筑前国司に宛てた符。「大宰府之印」が十顆捺してある。藤原佐理の花押があることで貴重。

第六図は、安藝国司高田郡の藤原頼方に宛てた符。「安藝國印」が三顆捺してある。

官司に準ずるところから出した符もある。

〔二二〕は、造東大寺司から写経所領呉原生人等に下したもの。(故、ことさらに。)

西山克さんは、網野善彦さんにこの語を教えられたという。『回想の網野善彦』p.121

〔二三〕は、東大寺から同寺領阿波国新島勝浦牧方の荘園に下したもの。

公卿の家からも符を出している。

〔二四〕は、関白内大臣藤原師通の家の符。

〔二五〕は、藤氏長者藤原忠通の代に、同氏の勧学院から春日若宮の神主を補任するために出したもの。

いずれの符も文書の差出者が位署を加えるところが日附の前になっている。ただし、東南院文書のなかで一通その様式をとっている牒があるが、書き誤りであろう。とのことです。