年号のあるものが多い啓

以上啓状の各種書式を挙示したが、以下是等各種に通じて観察した結果を記述する。

まづ啓と云う文言のあるものと、然らざるもの、即ち状と認めべきものとの間に於いて、日附に年号のありなしに依って分けて見るに、

啓と云えるもので、日附に年号のあるもの六十九。無きもの二十九。啓と無きもので、年号のあるもの十六。無きもの三十。即ち啓と云える文書には、年号のあるものが割合に多い傾向となっている。元来年号が日附にある文書は、公文書の通例であるから、右の事実に依ると、啓と云える文書は、幾分表向きの形式を具えた文書と云い得る。之に対して啓と云わざる、即ち状と認むべき文書は、表向の形式を整えない文書であると云い得る。とのことです。