書出しは某謹言が最も多い

以上記述した平安時代の書状に就いて、その書出し書止め、日附下に於ける差出所及び充所の各部分が、如何に記されているか、その例を挙示してみると、

書出しに差出所を表した文言は、

某謹言 某恐々謹言 某頓首再拝跪言

の如きがある。始めの某謹言が最も多い。

次に書止めに差出所を表した文言は、

某謹言 某恐々謹言 某誠恐謹言 某恐惶謹言 某悚息謹言 某頓首謹言 某頓首再拝謹厳 某誠惶誠恐謹言

の如きがあり、書出し書止めを通じて、先の奈良時代の啓状に較べて、割合に多く無い。とのことです。