この書式の特徴は書止めに釈空海と差出所を表し、その下に状上と敬語を書いた点にある。この書式と同じ式は、前陳奈良時代の啓状一四式の中にはない。唯第五式は右に述べた特徴と全く一致しているが、この書式に具えている充所を欠いている。この書状に続いて九月十三日附の書状があるが、それは前記第五式と同じ書式を具えている。なお之に続いて九月五日附のものがあるが、之は初めの書状と同じ書式である。右三通はともに一巻に装幀してあり、始めの書状の書出しの言葉風信雲書から、この一巻を風信帖と称し、弘法大師の真蹟を知る洵に貴重な資料で、既に世に有名となっていることは申す迄も無い。書蹟として計りで無く、書状の形式を見る上にも重要な資料となるものである。とのことです。