「悉之」に更に「以状」を附けたものもある

五 官と花押とを書いたもの

この書式のものには充所を特に記さず、文書を受けべき人の名を本文の中に記入しているものがある。〔一〕はその一例、書止めは「悉(ツクセ)レ之(ヲ)」と結んでいる。次に〔二〕の如く、書止めは同じでも、充所を具えているものがある。この方が先のものよりも鄭重な書礼を表しているものである。尤もこの場合、受取人が同じ地位の人であっても、差出所に於いて、左中将が左少弁よりも地位が高いところから来た相違とみるべきである。然しかく官の高下に依るものとも限らない。〔三〕の如く、差出所が左少弁よりも高い左中弁でも「悉之」に更に「以(モツテ)状(ス)」を附けているものもある。とのことです・