最も優れた古文書集、武州文書・相州文書

地誌の編纂と古文書の活用 です。

古文書を用いた地誌の早い例は、延宝四年から貞享二年に水戸徳川家が完成した新編鎌倉志。

伊賀上野城代藤堂元甫が宝暦十年にはじめ、歿後嗣子華川によって宝暦十三年に完成した、伊賀・伊勢・志摩の三国地誌。他国大和の東大寺の古文書を多用している。

会津藩保科正之が選修したものを基に享和三年に完成した新編會津風土記

幕府の官撰にかかり、最も完備したといわれるのが、新編武蔵国風土記稿、新編相模国風土記稿。その際作られたのが、武州文書、相州文書。この文書集は江戸時代に作られた古文書集のうち、最も優れたものといえる。とのこと。武州は1,340相州は1,968の文書から成っている。武州は特に府内を挙げ、次に郡別、その中を郷村別にわけ、郷村内は神社・仏閣・庶民と持ち主別に挙げ、一持ち主の文書はすべて年代順に排列している。相州も同様。

和歌山藩紀伊風土記。仁井田好古等が天保十年に纂輯。本文98巻。付録の15巻に武州相州両文書と同じ体裁で古文書を排列している。

ほかに、江戸府内の地誌として御府内備考、常陸国誌、甲斐国誌、駿河志料、尾張の張州雑誌、長防風土記、土佐の南路志、筑後将士軍談などが挙げられる。

嘗つて地誌に収めた古文書にして、今日その所傳を失つてゐるものも少くない。吾人は努めてその散逸を防ぐやうに、適切な方法を講じなければならぬ。