最初期の袖署判下文

第三式 袖署判下文

袖署判の下文には、差出所記入式のものは極めて少ないから、便宜非記入式との区別なしに列挙することとした。

第一種 大宰府国司庁宣下文

〔一一九〕に挙げたものは、寛治三年九月廿二日、筑前国雑掌に充てて出した下文であって、これが大宰府庁から出したものであることは、奥下署判を加えている人々によって明らかである。而して袖判を加えた者は何人であるか明らかでない。大宰帥か、あるいはまた大貳か少貳か明らかでない。しかしとにかくこれらの中の何れかの人であろうから、大宰府から出した袖署判の下文の例に挙げ得るものである。

なお、特にこの袖署判についていうべきは、右の下文がこの種署判の文書として管見に入る最初のものであることである。おそらくこのころから袖の署判というものが行われていることがわかる。この点においてむしろこの文書は、古文書学上注目に値するというべきである。とのことです。