小野道風の書状

扨てこの佐理の書状の書式は、この人よりも一つ前の時代の小野道風の書状にも現れている。集古浪華帖第二に道風の書状が十一通収めてあるが、大体佐理のものと同じ書式を具えておる。今その一例を示すと、〔二五一〕の如きものである。なお佐理が薨じた長徳四年前後の文書を裏返して書いた九条公爵家所蔵延喜式の紙背文書の中に、当時の消息書状と思われるものが多数あるが、それ等は、大体道風や佐理の書状と同じ書式である。今その一二の例を挙げると、〔二五二〕〔二五三〕〔二五四〕の如きものである。又東大寺東南院文書の中にも此頃の書状があるが、その一二の例として〔二五五〕〔二五六〕を挙げて置く。とのことです。