近江六角定頼の年寄の奉書

然るに、〔三四〇〕に挙げたものは、大永五年九月廿五日、近江六角定頼の年寄が、同国高島郡の朽木家の雑掌に充てて、丹後出勢の事に関して伝えた文書であるが、これには前陳の奉書と対比して、書式の上に大きい相違が現れている。この奉書は料紙は折紙を用いており、差出所は名判となっているが、日附が付年号でなく書下(かきくだし)年号になっている。この年号の書き方は、幕府奉行の奉書と全く相違した書き方である。この佐々木氏奉行の奉書は、模倣してもどこにか地方の大名としての特色を表していると見るべきであろう。とのことです。