千種忠顕の袖判の御教書

 熊谷小四郎平直経相率一族等、可致合戦忠、頭中将殿所候也、仍執達如件、

   元弘三年五月十六日                右馬允高重

この文書は、蔵人所左近衛中将千種忠顕の侍臣右馬允高重と申す者が、仰せを奉って出したものあるが、充所を欠いている。袖判を加えた人は忠顕である。形式は先の国宣と同じである。忠顕は当時伯耆国に坐ます後醍醐天皇の側近に奉仕して、四方の官軍を催す為に大いに努めていたときであって、この文書に依って安芸国の熊谷直経を招いたのである。かような文書は尚他にも多数出したものであろう。とのことです。