下知状の書止めが移って用いられた珍しい例

次に書止めに、「状如件」と書いたものもある。〔一七〕はその一例であるが、類例は極めて多くある。更に書止めに「執達如件」と書いたものもある。〔一八〕は伏見上皇院宣でこの例に入る。〔一九〕は差出所が日附の次行にあり、又充所も異式であるが、書止めの文言から云えば、この類に入る。又〔二〇〕の如き、下附、上所を具えた書式で、この類に入るものもある。充名に対して然るべく敬意を表していると見るべきである。又〔二一〕の如く、「依仰下知如件」と結んでいるものもある。之は珍しい例で、恐らく下知状の書止めがこれに移って用いられたのであろう。とのことです。