駿河駿東郡棠(ぐみ)澤郷に下した伝馬の掟書

次に武田氏のこの部類に入る印判状を挙げよう。

(略)

この文書は、甲斐の武田氏から、駿河駿東郡棠(ぐみ)澤郷に下した伝馬の掟書である。棠澤は今の御殿場町の附近の一郷である。伝馬を仕立てしむる証文たる手形に、公用無賃のものは印判を二つ、私用有賃のものは一つ捺して有ること、伝馬は日に無賃のもの四疋充出す事、私用の伝馬賃は一里即ち六町につき一銭たる事、伝馬賃を出さざる者には伝馬を仕立てざる事、密かに伝馬を仕立て賃金を取らざる事、伝馬役を勤むる者の普請役を免除する事、小田原北条氏から伝馬手形を出した者に対しては伝馬を仕立つべき事の七条から成っている。とのことです。