御物の古文書

第一節 古文書伝存の諸所 第一項 御物の古文書 です。

正倉院に伝わる、天平勝宝八年の献物帳四通は極めて重要です。孝謙天皇光明皇后が、東大寺の廬舎那仏に、御本願聖武天皇の御遺物を納めたときのものです。紙面に隈なく「天皇御璽」の内印がしてある貴重な古文書です。

我が国最古の古文書たる大宝二年の戸籍など天平以降に写経所で料紙として用いた文書など15,000通に達しています。

永く勅封としてもとのまま伝わってきましたが、江戸時代末期の天保七年穂井田忠友の手によって整理が行われ巻物に収めて保存することになりました。このとき整理されたものを正集といい四十五巻、以後続修五十巻、塵芥三十九巻三帖、続修後集四十四巻、続修別集五十巻、続々修四百三十九巻二冊が作られています。

正倉院文書は、史料編纂所から明治三十四年以来、大日本古文書の一部として編輯、出版され、昭和十五年二十五冊を刊行して完成をみました。

なお、京都御所内東山御文庫には、歴代の宸翰、典籍、記録、古文書など貴重な資料を蔵せられていますが、史料編纂所においては、特に勅許を蒙ってこれを影写謄写し、東山御文庫御記録と題して、大日本史料の中に編輯して収めているとのことです。