女房奉書の前身、内侍宣

第一種 内侍宣

第二種 宣旨

第三種 口宣案

第四種 官宣旨

大宝令後宮職員令に内侍司が挙げてあるがこの司の役員は悉く女性であり、そのかみは尚侍といって二人あり、常時側近に侍り、奏請および宣伝などのことを司っていた。宣伝はすなわち勅旨の伝宣であった。この内侍司が勅命を伝宣するとき出した文書で奈良時代のものは伝わっていないが、平安時代初期のものが伝わっている。

〔六八〕左大臣藤原緒嗣が辞表を上ったのに対して、これを却下し、辞するに及ばずとの思し召しを、内侍が伝えるために出した文書である。

文体は詔書と同様宣命体である。内侍が口づから伝える体裁をとっている。もっとも内侍宣には漢文体の文書で伝わっているものもある。

上に挙げた内侍宣は勅書をもって伝宣したと同じことを取り扱っているが、なかには比較的軽い事柄を伝宣している。平安時代を通じて、この文書がいかに変遷したか、今伝わる資料が乏しいのでそれを窺うことができない。しかしこの内侍宣の系統を引く文書が、鎌倉時代以後から現れてくる女房ノ奉書である。

なお、内侍宣は資料が乏しく、原本として伝わるものがないので、図版に掲げて示すことができない。とのことです。