中納言が右中辨に伝宣

以上は職事から口宣が上卿に伝えられた場合であるが、この口宣の文書が伝えられず、唯詞をもって仰せたときの例としては、実例を挙げがたいが、新任辨官抄に示してある上卿が辨官に伝える場合の書式を挙げると、

 献上 或不被注献上二字、

   宣旨

    内蔵寮申請臨時公用料事、

   仰、依請

 右宣旨、早可被下知之状如件、

      月  日     中納言

      右中辨殿

のごときものである。上卿たる中納言某が職事から内蔵寮の申請うた臨時公用料は、申請のごとくに計へとの仰せである旨を受け、これをこの消息によって右中辨に伝宣したのである。とのことです。