二印を重ねて捺した極めて稀な古河公方足利義氏の印判状

ここで特に注意すべきは、珍しく印を二顆捺していることである。この捺し方は既に信虎の印判状にも現れている。それも後項に一例として挙げてある。印を二顆捺す時、右の過所の如く二箇を上下に相並べて捺すと、二箇を少しづつ重ねて捺すと、更に二箇を全く重ねて捺すと、更に又一箇を日附にと全く隔たって捺すとの四様がある。全く重ねて捺すと、一見したところでは二印を捺したようには見えず、之を一印の印影と見誤り易い。然しこの例は極めて稀で、既に述べた古河公方足利義氏の印判状にあるのが、管見に入った唯一のものである。とのことです。