元号を表す代わりに干支を記す文書は印判状に多い

干支を記すのは、元号を表す代わりであるから、各種の文書にも用いられそうであるが、必ずしも左様では無く、大体印判状に多い。之も一つの特色である。唯、北条氏の文書について調べると、氏康から出した判物に、干支のみを記したものがある。元号を表したものの数と比較すると極めて少ない。要するに干支を記すのは印判状が主なるものであったと認めて差し支えない。然らば元号をも表したものと、干支のみのものとは、何に依って差別を立てたのであろうか、実例について調べると、干支のみのものは、大体軽く取り扱った文書と認められる。儀礼を重んずる程度に依って、右の如き区別が生じたもののように思われる。とのことです。