2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

蔵人所の御笛、青葉の竹

略名の式も行上の位署も、地位の高いものが行うものであった。詔書の覆奏文に於いて地位の高い三公(太政大臣・左右両大臣)は略名の式を執り、大納言は名を自署している。しかし三公の位署を連ねるところ必ずしも略名の式を用いるわけではない。 中世以降の…

五位以上でも行上でなければ略名式を用いず

但し、行上に署することを得ず、既に長官の署卿に准ず、六位の長官も又行上に署するを得、但し略名を用ひず、何となれば令に准ずるに五位以上に、略名之式有りて、判官以下に上に署する(即ち行上の署)の法無きが故なり 義解の続きの部分ですが、要するに五…

「朝臣」と名を略し姓を書くので、略名式

公式令の移の書式によると、八省の長官たる卿の位署は、本人が姓(朝臣・忌寸など)を書くこととなっている。名を書くべきところ、これを略して姓をかくから、略名式とよぶ。〔二六〕では、卿の位署がなく、大輔が略名式をとり「朝臣」と自署している。 公式…

ことさらに移す

第六類 移 です。 移は直属関係にない官司が取り交わす文書です。義解には、被管の司は直ちに移を出すことはできず、まず所管に解を申して、所管から他司に向かって移を出すべきであると説いている。 〔二六〕兵部省 → 民部省 字面に「兵部之印」が十顆捺し…

符は差出者の位署が日附の前にある

第五図は、大宰府が筑前国司に宛てた符。「大宰府之印」が十顆捺してある。藤原佐理の花押があることで貴重。 第六図は、安藝国司が高田郡の藤原頼方に宛てた符。「安藝國印」が三顆捺してある。 官司に準ずるところから出した符もある。 〔二二〕は、造東大…

牒解符の入れ子状の文書

〔二一〕は、民部省から大和国司に宛てたもの。 牒 弘福寺 → 大和国司 解 大和国司 → 太政官 符 太政官 → 民部省 符 民部省 → 大和国司 下記のように入れ子状になっています。 牒に偁ふ → 将為伽藍田者 解に偁ふ → 望請、官裁、将被裁下者 符に偁ふ → 省宜承…

糸+寄 いろひ、干渉

〔一九〕安藝國高田郡大領を任ずるため安藝國司に下した官符。内印三顆が捺してある。永保三年(1083)六月七日までが官符の文で、奉行以下は国司が應徳二年(1085)二月十六日、「奉行」すなわち官符の趣旨を施行した意味を附記したものである。安藝國印が…

驛鈴には剋という刻みがあった

官符は、太政官内の辨官と史と両人がだすものだった。図版の例では、右小辨平親範と左大史小槻某が官位氏姓名を表しているこれを位署という。 官符のなかでも、詔書頒下の際に下すものは特に重要なものだった。 〔一六〕太政官詔書頒下并謄詔符 は、朱雀天皇…

胃腸にげっぷ?

第五類 符 に入ります。 続く、移・牒・(奏)・解とあわせて、かつて本郷和人さんが、放送大学で「胃腸にげっぷ」(移・牒・解・符)と紹介されていたのが耳に残っています(笑)。 符は所管から被管に下す公の文書のこと。上から下に逮(およ)ぶ文書。 太…

木契も一種の文書

第四類 勅符 に入ります。 勅符は、勅命を急速に大宰府・諸国司などに伝えるために出す文書です。公式令にその書式が飛驛下式として定めてあるとのこと。飛騨?と思ったら飛驛ですね。ひえき、かしきでいいのでしょうか。これに対応して諸国から勅符による指…