上位の者から下位の者に逮ぶ雑公文

第六類 雑公文

上に説いた下文下知状の類の如き形式を明かに具えていない文書で、上位の者から下位の者に逮ぶ意味を持った文書がある。それは後項に説く書札式の文書、或は印判状と称すべきものの中に多数ある。然し尚おこれらの文書の形式を具えておらず、さりとて下文下知状と見做すべき形式をも具えていない文書がある。これは既に下文の項で、下文の変形として幾つかの形式を説いたが、更に之に準ずべき形式を具えたものと見るべきものがある。かかる文書を、仮りに雑公文と称して置く。この定義に入るべき文書も、その差出者若くはその内容等の関係から、種々特殊の名称を以て呼んでいる。そこで大体その名称に依って部類を立てて説明することとする。尚おこの名称もこの式の文書に限るものでは無く、他の形式を具えたものと通用しているものもあるが、ここでは形式に重きを置いて、所謂上より下に逮ぶ形式のもののみを挙げることとする。とのことです。