「手判」を捺した手形は今伝わっていない

陣中から帰参する人夫飛脚は、文中に捺してある正圓の朱印を捺した手形を持参すべく、それに依って関宿渡の通過を許すこと、在所から陣中に赴くものは、一切検査しなくてもよろしいという二箇条が示してある。戦陣に於ける通行取締の掟として注意すべき史料である。日附の上部に虎ノ印判が捺してある。なお通過の手形に捺すべき印として本文書に捺してあるものは、径二寸四分、正圓重郭、印文は「通」の一字が表してある。この印文は捺す手形の働を簡明に示したものであって、当時に於ける特殊文書に捺す印と、その文書との働との間に密接な関係のあった事実を知るべき好資料となる。本文に依ると、この印を手判と称していた。この手判を捺した手形は、今伝わっていないようである。とのことです。