単に下すとのみあるので、署判の位置で分類

乙式 差出所非記入式下文

 奥上署判と奥下署判と袖署判がある。

第一式奥上署判下文

第一種諸国司下文

書き出しに単に下すとのみあって、これだけでは何処から下したものか明らかでない。而してその下に表した即ち充所は大山庄下司で、同庄は丹波国にある庄園である。日附の次行に位署を加えた人は、木工頭で丹波守を兼ねていた高階為章である。即ちここに位署を加えている人が丹波守で、充所が同国内にある庄園の下司であるから、この文書を丹波国守の下文と認めることができる。

さてこの下文は、大山庄の本所領家方の用事のために、高砂津に運搬してあった材木を、さらに京都に向けて運送するに当たり、大山庄から人夫三十人を出すべきことを許可するために出したものである。文中後半に庄園として設定した後は、国司側の用のために課役を勤める必要のなきこと、もしこれを催すために国司の使者の命令があったならば、さっそく事情を注進すべきことを伝えている。すなわち国衙の不入の特権を更めて確実に認めたのである。とのことです。