充所のない後醍醐天皇の綸旨

料紙は薄様の鳥子で大きさは原寸が図版に示した如く縦三寸六部、横二寸二分、先に挙げた後醍醐天皇が五条頼元に賜ったものよりも更に小形である。この大きさよりも更に注意すべきは、この文書には充所と云うべきところがない。綸旨を賜った人の名は本文の中に書き入れてある。かような綸旨は、鎌倉時代以前には存しなかったものであって、その始めて現れてくるのは、後醍醐天皇の元弘三年の綸旨からである。とのことです。