「天皇御璽」ではなく「皇帝官印」を捺した理由

次に圓爾の度縁に「天皇御璽」の内印を捺さず、「皇帝官印」の印を捺したのは、右に述べた如く、支那の人々にこの度縁を示すべき必要を予想した為めと思われる。古く大宝の儀制令を見るに、天子、祭祀所称、天皇詔書所称、皇帝華夷所称云々とあるに基き、支那即ち華夷に対する関係から内印を用いられず、「皇帝官印」を捺させられたものと拝す。又慧廣の度縁に国内の官符官牒に捺す単郭の外印と異った重郭のものを特に捺したのは、印に依って内外の区別を付ける必要から起ったことと思われる。とのことです。