紙の割合に印が大きく印の威光が一層強烈に感ぜらる信長の伊達輝宗宛朱印状

(略)

この文書は信長が越後の謙信を伐つために、出羽米沢の伊達輝宗をして本庄繁長と共に謙信の背後より之を脅かすことを促すために出したものである。信長の字面に二頭の降り龍で囲んだ天下布武の朱印が捺してある。この部類に入るべき朱印状である。料紙は鳥子の切紙縦四寸横六寸九分に過ぎないものであるが、それに捺してある朱印は、径二寸ある。紙の割合に印が大きい。印の威光が一層強烈に感ぜられたことであろう。かような点から見ても、この朱印を捺したのが先の能景の書状の如く単なる花押の代わりでなかったことを充分了解し得るであろう。とのことです。