切紙だと印が異様に大きく感ぜられる

料紙は切紙で縦五寸一分、横七寸五分の小形のものであるが、日附の字面には、径二寸七分正圓、重郭、印文「心簡剛」の朱印が捺してある。料紙の大きさから印が異様に大きく感ぜられる。料紙が小さければ、花押も小さく書くと云う融通性が印の上にはない。虎ノ印判の如き大きい朱印も、右の如き切紙に捺して、人夫徴発等の命令を発している。小さい紙面に大きい印であるから、印の威容は一層強く感ぜられたことであろう。かようなところに戦国諸大名が印を用い、又その形様に工夫を凝らした動機の一端があるようにも考えられる。とのことです。