武田勝頼が「晴信」の印を襲用

〔五二四〕は、天正三年九月廿一日、武田勝頼が、遠江小山に於ける徳川勢との合戦に於ける味方の戦功を褒める為に出した感状の一例である。ここに挙げたのは狩野次郎兵衛と云う者に充てたものであるが、尚本文の同じものが数通遺っている。同時に多数出したものであろう。日下に「晴信」の印文を具えた朱印が捺してある。之は先に挙げた永禄三年信玄が甲斐吉田の浅間宮御室に出した御供米等の過所の袖に捺してあるものと同印で、勝頼は信玄の没後、之を襲用していた事実が、ここに挙げた文書に依って知られるのである。とのことです。