建武元年皇帝「尊治」(宸筆)の勅願文

 第二類 願文

仏事を修して祈願の意を敬白するために作る文書を願文と云う。なお儀礼を整えて仏事を行わずして、単に願意を神仏に祈請するために奉る文書をも願文或いは願書と称している。

〔七〇九〕に挙げたものは、後醍醐天皇建武元年九月廿一日、石清水八幡宮行幸あらせられ、その還幸の途、廿三日東寺に於いて、五重塔婆造立の供養を遂げさせられた時、敬白せられた勅願文である。東寺の塔婆は文永七年雷火に罹って焼失し、永仁元年造立を畢えたのであったが、未だ供養を遂げなかったので、この時盛大に之を行わせられたのである。とのことです。