商人か工人が受けた下知状

右と同じ書式の下知状に〔一五七〕の如きがある。これは元亀元年六月二日、幕府奉行が禁裏御倉職を奉じていた立入宗継の買得相伝田畠等領有安堵の為めに出した下知状である。本文に見える所領の目録は、〔一五七〕の附録として示してあるものに当る。

かように総論の裁許并に所領領知の安堵の為めに奉行衆から下知状を出したが、何れの再挙安堵にも左様であったわけでは無く、裁許安堵を受ける人に依って之を出している。即ち下知状を受けた人は、商人か若くは工人に限っていた。然らざる人々には、後項で説く奉書を出している。右二例の中先のものは、大工が裁許を受けたものであるが、後のものにては、安堵を受けた人の身分が余り明かでないが、この下知状を受けているところから御倉役を奉仕していた金融関係の承認と見做すべきであろう。とのことです。