なお地名を書いた上に印を捺した実例として、〔五六九〕の如きがある。これは天正十七年四月五日、薩摩島津義久が、琉球国王に書状を遣わし、それと共に禮物として杉原紙百帖を送った目録である。本文に之を注文と称している。日附の下に「鹿兒島」とその居城を書き、その上に印文「義久」とある方二寸八分五厘ある極めて堂々たる朱印が捺してある。島津家に於けるこの種の印は、義久に始まるのであは無く、室町時代の中頃から始まっている。なおこの種の印のことに就いては、後項図版を示したところに便宜再説することとする。とのことです。