2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

厳島神社に平安時代以来の2,000余通

山陽道地方です。 播磨。廣峯社に祠官廣峯氏が武士として活動する文書あり。一宮伊和神社、石清水八幡宮の別宮松原八幡宮。書写山にはほとんど伝わらない。明石郡大山寺には大塔宮の令旨あり。加東郡の清水寺。 備前。一宮吉備津彦神社(室町時代から)、御…

隠岐の宇受賀(うずか)神社

山陰道地方です。 丹波。何鹿(いかるが)郡の安国寺、天田郡の天寧寺。 丹後。舞鶴の桂林寺、天橋立の成相寺。 但馬。養父郡の日光院、美方郡の楞厳寺。 因幡。なし。 伯耆。西伯郡の瑞仙寺。 出雲。出雲大社、国造千家北島両家に鎌倉時代以来の古文書が多…

永平寺は火災の難にかかり・・・

北陸道地方です。 若狭。小浜の高成寺、松永の明通寺に最も多く、鎌倉時代末期以来の如法経米寄進札を多数伝えている。神宮寺。羽賀寺。 越前。織田郡の劍神社、福井の藤島神社(結城宗広の書状あり)、西福寺、法雲寺、曹洞宗大本山永平寺は、火災の難にか…

新田氏の文書を伝える世良田の長楽寺

美濃。郡上の長瀧寺、市橋の立政寺、可児郡虎渓の永保寺。 信濃。上諏訪神社、旧社家守矢家。下諏訪神社(鎌倉時代から)、小県の生島足島神社に起請文多い。下伊奈郡の文永寺(室町時代から)。 上野。世良田の長楽寺(新田氏関係)。 下野。足利の鑁阿寺に…

古文書の少ない延暦寺

東山道地方です。 近江。坂本の日吉神社は多くない。蒲生郡の末社日吉神社に鎌倉時代座商に関するもの多数。多賀神社、御上神社。寺院では延暦寺に少なく、末寺葛川明王院に鎌倉室町時代のものが多い。園城寺、開祖円珍の履歴などが伝わる。特に入唐在留中に…

上総の社寺の古文書は?

武蔵。府中の大國魂神社に少し。金澤の稱名寺に多数、古文書を料紙に使用したもの約4,000点、いま金沢文庫に於いて管理。横浜の寶城寺(南北朝から)、東京芝の増上寺(室町時代末期から)、南埼玉郡鷲宮神社(室町時代から)。 安房。保田の妙本寺(鎌倉時…

著者の地元、相模の古社寺

さて、著者の地元相模です。 鎌倉の古社寺に多く伝わる。鶴岡八幡宮。別当寺伝来のものは明治維新後散佚したが、なお頼朝の寄進状以下多数伝わっている。鎌倉五山。建長寺には極めて少ない、円覚寺には、開創以来の古文書が多数伝わり、東国としては有数のも…

久能山に明治維新で引上げた御朱印類あり

尾張。熱田神宮、津島神社、真福寺寶生院、妙興寺、笠覆寺(りゅうふくじ)にあり。特に妙興寺に多数。 三河。猿投神社、額田郡の總持寺、大樹寺、渥美郡の東観音寺。大樹寺には徳川氏に関するものが多い。 遠江。浜名郡の蒲神社(鎌倉時代以来)、大福寺(…

伊勢の社寺の古文書

東海道地方です。 まず伊賀。著しいものはないとのこと。 次いで伊勢。大神宮は既に述べたので省略。多度神社には、神宮寺の延暦二十年の縁起資財帳を伝えている。津の結城神社は、忠臣結城宗広を祀った社で、結城氏家伝の古文書が伝わっている。宇治山田の…

法然ゆかりの勝尾寺

河内に入ります。 南朝と関係の深い観心寺・金剛寺に平安時代初期からの文書や楠木氏に関する文書が伝わっています。金剛寺の末寺河合寺にも南朝に関するものがあります。廃絶した壷井八幡別当通法寺の古文書は今同宮祠官の家に伝わっているそうです。 和泉…

一万通におよぶ東大寺文書

大和に入ります。南都七大寺(東大寺・興福寺・元興寺・大安寺・薬師寺・西大寺・法隆寺)の中で古文書を多数伝えています。 東大寺。塔頭東南院、尊勝院に分かれて伝わっていたが、東南院の主なものは明治半ばに皇室に献納し、今は正倉院に東南院文書として…

古文書を伝える京都の真宗・日蓮宗寺院

京都の寺院の続きです。 真宗。本派本願寺派の本山西本願寺に鎌倉時代からの古文書を多数伝えています。興正寺にも伝わっています。 日蓮宗。妙覚寺、本能寺、立本寺、本満寺、本圀寺、妙満寺、妙蓮寺、本法寺などに伝わっています。

京都の臨済宗の寺院が伝える古文書

京都に於いて天台・真言に次いで多数の古文書を伝えるのが、臨済宗。 五山においては、南禅寺、同塔頭金地院、相国寺、天龍寺、同塔頭妙智院、東福寺、同塔頭海蔵院、同栗棘庵(りっきょくあん)、建仁寺塔頭両足院などにあるが、相国・建仁両寺のものは極め…

五畿内の天台・真言の寺院

五畿内の寺院については、天台・真言の両宗に多いようです。 天台宗では、青蓮院、曼殊院、三千院、妙法院の山門派、実相院、聖護院、毘沙門堂の寺門派の門跡寺院をはじめ、廬山寺、鞍馬寺、住心院などにも平安鎌倉時代からの古文書が伝わっているそうです。…

源義朝が登場する天養記

第三項 社寺伝来の古文書 です。 まず大神宮すなわち伊勢神宮に伝わる文書が挙げられています。神宮文庫に保管されているものです。特に天養記という相模大庭御厨に関する古文書には、源義朝の館が鎌倉にあったことなどが見えて重要なものです。大宮司家并に…

宮家の古文書

宮家でも高松宮、伏見宮、北白川宮を始め貴重な古文書を多く伝えられています。伏見宮所蔵のものは、最も数が多く、伏見天皇・後伏見天皇・花園天皇以下歴朝宸翰の御置文、御譲状、御消息をはじめ音楽のご伝授に関する古文書等があります。特に両統迭立に関…

御物の古文書

第一節 古文書伝存の諸所 第一項 御物の古文書 です。 正倉院に伝わる、天平勝宝八年の献物帳四通は極めて重要です。孝謙天皇・光明皇后が、東大寺の廬舎那仏に、御本願聖武天皇の御遺物を納めたときのものです。紙面に隈なく「天皇御璽」の内印がしてある貴…

いよいよ古文書伝存の現状へ

いよいよ第四章 古文書伝存の現状 に入っていきます。佐藤進一『古文書学入門』では第二章第二節伝来の状態に対応しています。まずは大観してみましょう。 第一節 古文書伝存の諸所 第一項 御物の古文書 第二項 宮家の古文書 第三項 社寺伝来の古文書 第四項…

史料編纂所の貴重な影写本

第三章 第四節 第五項 明治維新以後に於ける古文書の蒐集 です。 明治維新の際、社寺に伝わる御朱印類は、悉く政府に差し出すことになりました。御朱印類とは、幕府から社寺領の寄附、もしくは将軍の代替の続目安堵のために出した判物、朱印状のことです。引…

個人が作った古文書集

個人が作った古文書集。 水戸の小宮昌秀(楓軒) 楓軒文書纂 大坂町奉行を勤めた新見淡路守正路 賜蘆文庫文書 伊勢の御巫(みかなぎ)清直 徴古文府、輯古帖 常陸土浦の色川三郎兵衛 古文書集 以上は、所蔵者別に収めたものです。編年体としては、 土佐の奥…

古文書分類の嚆矢、松平定信の古文書部類

水戸の史館、加賀の前田家についで古文書の保存に功績のあったのが松平定信です。 定信は、古物が散佚するのをおそれ、集古十種を刊行しました。古文書については、古文書部類八十二冊を編輯しました。これは文化年間白河城炎上の際に焼失したと伝えられてい…

加賀前田家の古文書蒐集・模本作成

古文書集の編纂 です。 前項の地誌とは異なった一般史書の参考資料としての古文書集が挙げられています。 まずは、山鹿素行の武家事紀、その続集巻廿九以下九巻は、古案と題して戦国時代の武将の古文書を収めています。 次に、大日本史編纂の成果としての古…

最も優れた古文書集、武州文書・相州文書

地誌の編纂と古文書の活用 です。 古文書を用いた地誌の早い例は、延宝四年から貞享二年に水戸徳川家が完成した新編鎌倉志。 伊賀上野城代藤堂元甫が宝暦十年にはじめ、歿後嗣子華川によって宝暦十三年に完成した、伊賀・伊勢・志摩の三国地誌。他国大和の東…

助さんが南朝の痕跡を求めて史料採訪

次は 水戸徳川家の大日本史編纂と古文書の採訪 です。 大日本史の編纂は明暦三年にはじまるが、広く史料を採訪したのは、延宝・貞享・元禄のころだったそうです。近畿地方の採訪の任にあたったのが、佐佐介三郎宗淳です。助さんのモデルですね。延宝八年畿内…

青木昆陽先生、登場!

第三章 第四節 第四項 史書地誌の編纂と古文書の活用です。 まずは 江戸幕府の史書編纂と古文書の採訪 です。 寛永年間の本朝通鑑、寛文年間の続本朝通鑑がまず挙げられています。編輯総裁であった林春勝の日記、国史館日録をみると、上杉綱憲の実父かの吉良…

家中伝来の古文書を集録する 毛利家、佐竹家

諸藩に於ける家中伝来古文書の集録 です。 長門の毛利家。享保七年家中より家伝の古文書を書き上げ、系譜を副えて提出させ作られた萩藩閥閲録。家・所持者769、巻数170、これほど大部の古文書を集録したものは他に類がないそうです。寛保元年に増補している…

断絶時、重書は主家が預かり、再興後返付

諸家家伝文書の整理 です。 まず薩摩鹿児島の島津家と周防岩国の吉川家が挙げられています。 島津家。慶安二年に古文書を整頓して目録と箱を作っている。その後数度の整頓を経て、7帖233巻5,785通を収めている。帖に仕立てた歴代亀鑑は2帖ある。巻子に仕立て…

古文書の真打登場!?東寺百合文書

続いて、河内国金剛寺。万治年間に整理して巻物に収めている。 河内国観心寺。寛文十年に整理して巻物に収めている。 高野山金剛峯寺。鎌倉時代の寛元嘉元の両度古文書目録を作成している。近世江戸時代始めになると、古文書は挙げて御影堂に収蔵している。…

石清水、賀茂、鶴岡の古文書整理

続いて、石清水八幡宮。同宮祠官田中家三代の宗清が鎌倉時代初期に宮寺縁事抄を撰録し、これと同時に古文書を整頓しました。その後、十三代の奏清は、応仁文明の乱中にも拘らず古文書の修補に努めました。十八代の敬清も古文書を修理し、養子召清も更に大い…

東大寺、醍醐寺の古文書整理

第三章 第四節 第三項 古文書の史料としての尊重とその整理 です。 近世江戸時代において、一古文書を所持している者が如何に取り扱ったか、二幕府始め諸家諸人が史料として如何に利用したかを見ていく、一については、近世以前のことも示し近世に及ぶことと…